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トルコとアルゼンチンの差

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皆様、おはようございます!

 

最近、トルコリラと一緒になって新興国通貨市場を賑わしているアルゼンチンペソですが、果たしてトルコリラはアルゼンチンペソのようになってしまうのか?また、どのような条件が整えば同じようなことが起こり、そしてどのようにすれば回避できるのか?について考えてみたいと思います。

 

まず、アルゼンチンですが、アルゼンチンは過去に複数回デフォルト(債務不履行)をしておりますが、トルコは一度も有りません。これは投資家にとって非常に大きい差だと思われます。アルゼンチンはインフレが加速する中、2015年の選挙で大統領が変わりました。それまでの政策は現トルコ政府のような政策でしたが、この2015年を機に新しい大統領は経済に明るかった事もあり、財政引き締め政策を取るようになりました。プライマリーバランスの目標まで掲げており、トルコの政権がエルドアン政権からメルケル政権へと代わるくらい政策に変化がありました。この点はトルコよりもアルゼンチンの方が良いですね。

 

アルゼンチン関連の記事を読むと必ず出てくるワードが「経常収支赤字の対GDP比率が5%を超えた」と言うものですが、ちなみにトルコの対GDPにおける経常収支の赤字は2017年で5.5%を超えており、今年も5%超えは間違いなさそうなので危険水域と見て良いでしょう。対GDPにおける債務の比率はトルコが25%~30%なのに対してアルゼンチンは50%を超えていました。これは大きな差ですね。

 

アルゼンチン、トルコ共に今年償還期限の債務残高の100%に満たない外貨準備金しか持っていなかった(アルゼンチンはIMFへ援助を申し入れたので)という観測ですが、トルコは外貨準備は少なくとも、その分金で保有しているのでそれを踏まえれば100%水準を維持することは可能な状況です。為替変動に対する銀行の耐性は、アルゼンチンよりもトルコの方が強いようです。(自己資本規制比率、ネットオープンポジション)

 

ザックリと並べてみましたが、やっぱり実際にIMFにお願いする事態にまでなってしまったアルゼンチンと比べるといくらかトルコがマシなのが解りますね。今、トルコで問題になっている企業の外貨建て債務残高は統計を見付けられず比較できませんでしたが、一部報道ではトルコ企業の外貨建て債務は2000~3000億ドルと推測されており、アルゼンチンの1000億ドル~2000億ドルよりも多いとされています。

 

そもそも、今回の新興国通貨売りが始まった理由として、アメリカの利上げが1番大きな理由だと思われます。確かに、トルコやアルゼンチンなどの新興国への投資は利回りが多く魅力的ですが、同時にリスクや流動性と言った問題が有ります。

それでもつい最近までのように、アメリカの国債利回りが極端に低く、中銀によって買い支えられような場面では新興国投資へ需要が高まりました。しかし、今やアメリカの10年国債は3%付近に到達しており、リスクを取ってまで新興国へと投資を継続する魅力が失われております。そしてドル資金の巻き戻しが起こりました。アルゼンチンは2015年から構造改革に取り掛かっておりましたが、たかが2~3年で大きく改善するわけもなく、トルコよりも経済規模の小さい事もあってかアルゼンチンが先に危機を向かえました。

(一部報道によると、アルゼンチンはIMFに頼るタイミングが非常に速かったと言われております。通常、政権はIMFの介入によって支持率が低下することなどを嫌いIMFの介入を遅らせる傾向があるようです。今回のアルゼンチン政府の対応は後のアルゼンチンにとって大きくプラスであると言われています。)

 

 

各指標がアルゼンチンよりも良く、経済規模も大きいトルコがアルゼンチンのような状況に陥るまでには、まだ時間の猶予があるように思えます。しかし、このまま双子の赤字を続けていけば対GDPの債務比率はアルゼンチンレベルに達し、直近の国債償還への支払いが危ぶまれるのも時間の問題のようにも思えます。(このトルコ国債売りがピークの中、新規で国債を発行するればするほど売られていく可能性が有る)

アルゼンチンは構造改革でインフレを抑制し危機に備えようとしましたが、トルコのエルドアン大統領はフルスロットルで経済成長をさせる事で対GDPの債務比率の引き下げと、経常収支黒字化を目指そうとしているように見えます。これは大きな差ですね。

 

政策金利面では、アルゼンチンは今年の4月27日に27.25%から30.25%に引き上げ、その後5月3日に33.25%、翌日5月4日に40%へと利上げを行いました。トルコは先日の緊急会合で13.5%から16.5%へ利上げを行いました。やはり、債権を売買するにあたっては、何度もデフォルトを行っているアルゼンチンと、金融危機が起ころうと意地でもデフォルトしないできたトルコでは信用に差が出るようですね。(最早、アルゼンチンは踏み倒しすぎて闇金すら貸してくれない債務者のようになっています。貸しても返してくれないので・・・。)

 

どうでしたでしょうか?ザックリとトルコとアルゼンチンを並べてみましたが、「トルコはアルゼンチンと比べればまだ大丈夫だな!」って思いましたか?それはある意味正解ですが、逆を言うとその分、下落余地があるとも考えられることは忘れないでおきましょう。

 

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